2023年6月27日の日本経済新聞に載った記事で、「テクノ新世-岐路に立つ人類」というのがありました。
https://www.nikkei.com/stories/topic_story_23062600
米国の話です。
通信会社への一部規制を緩和する米連邦通信委員会の法案に対して、19才のごく普通の大学生が、メールアドレスを大量発行するサービスを使い、でたらめな氏名や住所を生成できるウェブサイトで770万件もの反対意見を送り付けました。
また、通信大手などの団体が専門業者に数百万ドルを投じ、850万件の賛成意見を投稿させていたことも発覚。かかわった業者三社に約9000万円の罰金が5月に課せられました。
法案のパブリックコメント2200万件の内、実に偽投稿は8割超の1800万件にのぼったのです。国民の意見を政策に生かす民主主義のルールは破綻寸前と言える、と記者は綴っています。
米金融機関を震撼させた3月の銀行連鎖破綻。その陰でもテクノロジーによる情報工作が働いていました。調査会社によると、ツイッター投稿の2割が「悪意のあるアカウントによるもの」だったと報告されています。情報攻撃や株の空売りなど金銭目的の拡散が考えられると見られています。
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目的がわからない冗談が発端になった、以前、豊川信用金庫取り付け騒ぎのようなケースもありました。女子高生の「危ないよ」が口コミで広まり、噂に踊らされた預金者が、1週間後に店舗へ殺到する事態になりました。
そもそも偽情報を拡散させる人間が悪いのか、それをまるで自分が掴んだように周囲に再び拡散させる人間が悪いのか、netの情報を信じる者が悪いのか、結論づけるのは難しいと感じます。これからはAIで映像や音声を精巧に偽造する「ディープフェイク」技術が拍車をかけていくことでしょう。
虚と実の境界が揺らぎ、情報自体が信じられなくなる世界。
誰もが偽情報を拡散できる時代。
世界の破綻をもたらすのはあなたの隣人のつぶやきかもしれない。
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