未来のためにできること -印刷現場での環境対策-

2015年9月の国連サミットで国際社会における共通目標が定められました。
2030年までに達成すべき17の目標を掲げたSDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)です。
環境の保護や平和のための持続可能な開発、経済成長のための活動、開発途上国の支援など、17の目標はさまざまですが、その中で印刷会社が環境問題に対してできる一部をまとめてみました。

エコロジーペーパーを利用する

エコロジーペーパーは再生紙、非木材紙、未使用繊維混沙紙等、森林資源の保全に役立つ紙の総称です。
一般的な紙の原料は木材の繊維です。木材の使用量を抑えた紙を使用する。
それにより、大気中の二酸化炭素を吸収してくれる森林を守ることに繋がります。

エコロジーペーパーの種類

原料や循環社会を制限するもの
●森林認証紙(FSC、PEFC) ●間伐材紙
●グリーン購入法基準対応紙  ●サステナブルペーパー(バナナペーパー等)
原料を別のものにするもの
●LIMEX(ライメックス)●ユポ紙
紙を作るエネルギーを変えたもの
●グリーン電力用紙 ●カーボンオフセット認証紙

環境に配慮したインキを利用する

環境に配慮したインキとは、水性や植物性の溶剤から作られたインキを指します。
これまでのインキは石油系の溶剤から作られていたため、印刷時に気化した溶剤から二酸化炭素が排出されてインキの利用過程において、環境や人体への影響が懸念されていました。
近年は、低酸素社会実現のために環境に配慮したインキが広く用いられています。

主なインキの種類

●植物油インキ(石油系溶剤が少なくVOCの発生を減らす)
●ノンVOCインキ(石油系溶剤をほとんど含まない)
●ライスインキ(石油系溶剤を米ぬか油に置き換えたインキ)
●ボタニカルインキ(植物由来の成分で構成されたインキ)

無処理版で印刷する

無処理版とは、現像工程をなくし、印刷機場で現像を行う版のことです。
現像工程の薬剤が不要になり、廃液が出なくなります。
現像機が不要になるため、稼働エネルギー・CO2排出が削減できます。

水なし印刷を導入する

従来のオフセット印刷方法は、インキと水の反発を利用して印刷を行うため、有機溶剤を含む湿し水が不可欠でしたが、水なし印刷は湿し水を使わないため、有害物質を含む廃液が出ません。
また、VOC(揮発性有機化合物)の排出も大幅に削減できます。
メタル系やホイル系の紙表面加工紙など、従来の印刷では困難とされてきた素材にも対応できることも特徴の1つです。

参照サイト:株式会社 富士美術「これまでになかった「エコロジー×高品質」を実現した印刷技術」

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CO2排出、森林破壊、有害物質の排出などにより印刷物が自然環境への負担となっていることは確かですが、私たちの身の回りにあふれる印刷物は、生活になくてはならない存在です。
印刷会社も責任の一端を担うものとして、未来の環境のために様々な対策に取り組んでいます。
まずは環境に配慮した方法を「選ぶ」ことから、様々な印刷会社が努力されています。